ない過払い金|争点1(被告A職員の説明義務違反の有無)について

過払い金の販売等ではなく,投機の対象となるような性質のものではない。


出資の基本的性格やリスクについて説明義務を負う としても,被告A職員は,原告らに対し,これらについて十分な説明を行 っていたものである。
すなわち,被告A職員は,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,特 に預金との混同を避けるため,出資金は元本が保証されているわけではな く,万一被告Aが破綻するようなことがあれば,出資金が回収不能となる 可能性がある旨説明していた。
また,出資金の払戻しには時間がかかり, 預金をキャッシュカードで引き出すような単純なものではないことも十分 に説明していた。
さらに,被告Aでは,預金の利率と出資金の配当率を比 較して,配当率の良さばかりが強調されないよう,営業担当者に厳しく指 導しており,各営業担当者は,出資の勧誘に際し,単純に当時の配当率の 説明を行うだけでなく,それが業績等によって変動し得るものであること の説明を行っていた。
そもそも,出資をしようとする者は,出資に際して, 必ず出資申込書を記載するとともに,出資金相当額の振込若しくは振替の ための手続をとり,後日,出資証券を受領するのであるから,出資者にお いて,出資と預金とを混同することは考えられない。
以上のとおり,被告A職員は,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方が出資 の意味内容を十分に理解し得るように慎重に説明を行っていたのであるか ら,被告A職員に説明義務違反は存しない。
被告Aの経営状況に関する説明義務違反
ア被告Aの経営状況
被告Aは,いわゆるバブル経済崩壊後の厳しい情勢下においても,平 成10年度までは黒字決算を続けており,同年度には2億6000万円 余りの利益を計上していた。
被告Aは,平成11,12年度と2期連続して赤字決算となったもの の,これは多額の貸倒引当金を新たに繰り入れたことによるものであり, 金融機関としての本来業務による収益力の指標となる業務純益は年間1 0億円を超えていた。
被告Aでは,経営計画を策定し,適正な業務純益の確保,出資金の増 強,不良債権の回収,経費の圧縮等により経営状況の改善を図ることと していたが,平成11,12年度とも,業務純益の実績は計画を上回っ ていたのであり,人件費の削減や不良債権の回収についても順調に推移 していたことから,被告Aの経営状況の改善は進んでおり,被告Aが直 ちに経営危機に陥るようなことは全く想定されていなかった。
実際上, 平成13年度についても,計画では10億9800万円の業務純益を予 定していたが,上半期はこれを上回る水準の実績を上げていた。
また, 平成12年度までに多額の貸倒引当金を計上していたことから,貸倒引 当金の計上は一段落したと考えており,特に,平成12年度分について は,G中央金庫(以下「G中金」という。)
から,被告Aによる自己査 定が正確であるとの評価を受けていたことから,平成13年度に多額の 貸倒引当金の計上を余儀なくされることなど予想していなかった。
したがって,被告理事らは,平成13年度以降,被告Aの経営状況が 改善するものと考えていたところであり,同年9月11日のいわゆる9. 11テロ事件の発生により景況が悪化し,平成13年検査が実施されて 破綻に追い込まれるまで,被告Aが破綻に瀕した経営状況であるなどと は考えたことはなかった。
まして,第1次出資金増強運動が行われた平 成11年度は,被告Aが初めて経常損失を計上した年度であり,破綻の 可能性など認識すべくもなかったことは明らかであり,第2次出資金増 強運動が行われた平成12年度についても,多額の貸倒引当金の積み増 しにより,貸倒引当金の計上は一段落し,平成13年度以降は経常収益 が上がるものと考えていたのであるから,被告理事ら及び被告A職員に おいて,被告Aの経営状況が破綻に瀕しているなどとは考えられるはず もない状況であった。
原告らは,被告Aが,日銀考査や平成12年検査に起因する自己資本 比率の低下を理由として出資金増強運動を実施した旨主張するが,出資 金増強運動は,日銀考査や平成12年検査の前から計画されていたこと であり,被告Aの経営体質を強化する種々の施策の一環として従来の計 画どおりに行われたにすぎない。
出資金増強については,金融庁からも 指示を受けていたところであり,自己資本比率を上げる施策の一環とし て出資金の増強を選択することに合理性があることは明らかであり,し かも,債務超過の状態にあることを認識しつつ出資を募ったわけでもな いのであるから,被告理事らの経営判断が不合理であったとは到底いえ ない。
また,原告らは,繰延税金資産の計上が過大であった旨主張するが, 多額の貸倒引当金を計上すれば,その分,繰延税金資産の計上額が増え ることもやむを得ないのであり,他の金融機関と比較しても計上額が過 大であるとはいえない。

債務超過状態

原告は、上記の5%や10%の引当率の適用に関し、そうしなければA銀行が債務超過状態に陥り、B銀行との特定合併を実現することができなくなることを危惧したためになされた不正な処理であると主張し、このことが貸倒引当金の過少計上をうかがわせると主張する。
しかし、仮にこのような目的ないし主観状態であることが認められるとしても、上記において認定説示したとおり、平成10年3月期における公正な会計基準に照らして適切な範囲内の方式を採用して貸倒引当金を算定し、これを貸借対照表上の項目に記載したものと認められれば、目的ないし主観のいかんにかかわらずその記載が虚偽であるとは認められない。
そして、本件においては、上記のとおり客観的に判断して公正な会計慣行に照らして適切な範囲内の会計方式を採用したものと認められる以上、上記の目的ないし主観状態を以てそうでないと認めることはできないのであって、原告のこの主張は採用できないというべきである。
原告のその余の主張に対する判断ア原告は、上記のほか、預金保険機構が、平成10年6月、A銀行とB銀行が特定合併するのに際して、株式会社整理回収銀行が譲渡を受ける債権の対象等についてA銀行と協議した際、A銀行に対し、引当金不足等を指摘したことを挙げ、このことが平成10年3月期における貸倒引当金が不足していたことのあらわれであると主張する。
しかし、A銀行の引当金計上は当該債務者との取引継続を前提としてされているところ、預金保険機構の担当者自身も、継続的な取引を前提とするか否かで引当金に対する見方が異なり、株式会社整理回収銀行は取引を継続しない前提で債権を譲り受けるものであることからすれば引当金を上積みすべきであるとの趣旨で上記指摘をしたことを認めているから(甲45〔10、11〕)、上記指摘は、A銀行やB銀行の平成10年3月期における貸倒引当金計上の適否を判断する上で参考にはならないものというほかなく、原告の主張は採用できない。


被告Aの場合,平成11,12年度と2期赤字 決算が続いていたものの,平成13年度以降は黒字決算が可能であると 考えており,会計監査人からも繰延税金資産の計上に関して問題点を指 摘されたことはない。
さらに,原告らは,平成11年度以降の有価証券の保有高の増加を問 題視するが,当時は,本業である貸出金の伸びが非常に鈍く,それによ って得られる利益は減少傾向にあったところ,日経平均株価の底値感の 強まり,情報通信株や新規公開銘柄の株価の急騰,株式売買委託手数料 の自由化,インターネット・トレーディングの普及等により,株式を始 めとする有価証券投資に絶好の状況が整いつつあった時期であった。
被 告Aとしては,あくまでも長期保有により毎期安定した運用益を確保す ることを目的として,投資信託等の保有高を増加させたものであり,当 時,有価証券以外に有望な投資先が存したとは到底いえない状況であっ たため,その判断自体は何ら非難されるべきことではない。
イ被告Aの経営状況に関する説明義務違反
出資金は市場で取引されるものではなく,投機の対象とはなり得ない ものであり,元本割れをする場合とは,被告Aが破綻する場合しか想起 できないところ,抽象的な破綻の可能性はすべての信用金庫について存 在するものであるから,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,抽象 的な破綻の可能性について説明する義務などなく,説明を要するのは, 具体的に破綻が差し迫っているか,実質的に破綻状況にあると認識して いるときに限られるというべきである。
平成11年度中は,前年度が黒字決算であったため,客観的に経営体 質が不良であるとか,破綻の可能性のある状況になかったことは明らか である。
したがって,平成11年度以前の出資者に対しては,被告Aの 経営状況について説明する必要がなかったことは明らかである。
平成12年度については,前年度が赤字決算であったものの,被告A の経営状況は債務超過とはほど遠く,引き続き経営改善策を推進するこ とによって健全化することは十分可能であった。
したがって,同年度に おいても,被告Aは,自らが破綻する可能性を全く認識しておらず,単 に,自己の経営状況をより健全化して経営基盤の強化を図るべく努めて いただけであって,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,被告Aが 破綻する可能性があることについて説明する必要がなかったことは明ら かである。
平成13年度については,前々年度,前年度と2期連続して赤字決算 であったものの,不良債権処理が相当程度終了していたことなどもあっ て,当期からは相応な収益が上がるものと考えていた。
したがって,平 成13年度についても,被告Aが破綻に瀕していることを知りつつ出資 を募集したことはない。
平成13年度中に出資した原告ら8名(原告4, 9,17,24,27,34,38,42)については,出資の時期が 前年度末に近接しているか,破綻の直接の原因となったいわゆる9.1 1テロ事件以前の出資であることから,同人らの出資の際,被告Aの経 営は悪化している状況にはなく,前年度までと同様に,出資の際の説明 事項として殊更に経営状況に言及する必要はなかったというべきであ る。
以上のとおり,被告Aは,原告らに対する出資の勧誘時,破綻状態に あったわけではなく,また破綻の可能性すら認識できない状況にあった のであるから,原告らに対し,具体的な経営状況について何らの説明義 務を負うものではない。
2 争点2(被告A職員の優越的地位の濫用の有無)(略)
3 争点3(被告Aの出資金払戻協力義務違反の有無)
原告らは,具体的な事実を摘示することなく,また,どのような行為が出資 金払戻義務違反に当たるのか,どのような法的根拠によりそのような義務が発 生するのかを明確にしておらず,原告らの主張は失当である。
また,被告A職員が,信金法16条1項及び定款13条1項の規定に反して 原告らの権利行使を妨げるなどの具体的な事情があれば格別,そのような事情 もなく,単に,現況で払戻しが困難であることや,いったん再考を促すにとど まる行為が,原告らの権利行使を不当に拒絶又は回避したことになるはずはな い。
したがって,被告Aは,原告らの主張する出資金払戻協力義務違反に基づき, 何らの不法行為責任を負うものではない。
4 争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)について 被告A職員は,新人時代から,出資金の性格について研修を積み,融資業務 などを通じて各人においてその理解を深めており,各職員は出資の性格を熟知 していた。
また,出資金は,価格変動がなく,被告Aが破綻しない限り元本が 保証されるという低リスクのものであることからすると,出資の勧誘に際して の各職員の具体的な説明義務の程度は,総じて高くないことは明らかである。


過払い金返還請求の基礎知識も掲載中

過払い問題ってご存知ですか?
今まで金融業者が民法の上限の金利で貸し付けていたお金が違法と判定された問題です。
大手消費者金融の営業を揺るがす位のお金が今までに返還されてきています。
あなたも心当たりがあるならば、一度法律事務所に相談してみては?
過払い金ドットコムは、そんなあなたにぴったりのサイト。
過払い金について親身に無料で相談に乗ってくれる法律事務所が多数掲載中。
プロフィールや地域から頼りになる法律事務所を探して下さいね。


借金返済の最終切り札!

色々遊び過ぎて借金で首が回らなくなってしまった方、必見!
あなたの借金を棒引きにすることが出来るかも?
法律を駆使して人生をリセット!
何とかなるさと思っている方、そろそろ本気で債務整理を考えた方がいいですよ。
借金を返済するためだけに働いているなんて悲しいじゃないですか。
借金返済・債務整理ドットコムならあなたを親身にサポートしてくれる法律事務所の情報が満載☆
是非一度チェックしてみて下さいね。




被告
職員
出資

相互援助資金制度
唯一,信用金庫に対する出資について想定されるリスクは,信用金庫 の破綻しかなく,先物取引や変額保険などが有するリスクとは自ずから異 なるものである。
したがって,被告A職員が出資を勧誘するに当たっては,出資の勧誘を していることを明確にすれば十分であり,それ以上に出資の基本的性格や リスクについてまで説明義務を負うものでないというべきである。 また,相互援助資金制度は,本来的に元本が保証されていない出資金に ついて,例外的かつ政策的に恩典を与えていたにすぎないのであるから, 同制度の改変によって出資金が全額保護されなくなることまでの説明義務 を負うものでないことは当然である。